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“スサノオとオオクニヌシ”日本の神話の絵本⑤荒ぶる神スサノオと、心優しい神オオクニヌシが織り成す神様のお話し

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国譲り“スサノオオオクニヌシ

スサノオがオオナムジ(オオクニヌシ)に無理難題な試練を尽く与え、それらを幾度も乗り越えオオナムジは一人前となり、立派に国を治めるオオクニヌシノカミ(大国主神)へとおなりになるまでを描いた神様のお話です。

オオクニヌシノカミ(大国主神)は、その名の通り偉大なる国の神と言う意味です。
なぜオオクニヌシが国を治める神様になれたのか?注目して頂ければと思います。

そして、またしても結婚の話が出てきます。(※ここ超重要です!!)
日本の神話の話では、結婚の話は切っても切れないキーパーソンです。
既に妻がいるのに不倫じゃ…?と、言わないで下さいね…。
現代の結婚の価値観を持ち込むのはナンセンスです。

※前回の話はこちらから
iiehon.hatenablog.com


前回の話では、ヤガミヒメ(八上姫)と結婚したことにより兄弟に妬まれてしまい何度も殺されたりもしているオオナムジでありますが、母のサシクニワカヒメ(刺国若姫)とカムムスヒノカミ(神産巣日神)に助けられて復活しています。皮を剥がされた兎を助けるような優しい性格のオオナムジだからこそ、その度に様々な人に助けられたのでしょう。今回も、どうやって難を逃れたのか?については、注目して頂きたいポイントです。


あらすじ


兄弟の八十神から何度も殺されたオオナムジ(オオクニヌシ)は、紀伊の国のオオヤビコノカミの助言通り木の股をくぐって黄泉の国(根の堅洲国)の大神、スサノオに会いに旅立ちます。

黄泉の国に到着したオオナムジは、そこで須勢理姫(スセリヒメ)に出会います。
オオナムジは、出会った瞬間にスセリヒメに惹かれます。

そして、スセリヒメの父親に会いに行きます。
その父親こそが、祖先のスサノオノミコトです。

スセリヒメは、スサノオノの元へ行くと
「世にも立派な方がたずねてみえました」と、瞳を輝かせて告げます。

スサノオは、オオクニヌシであることをすぐ見抜きます。
同時に、ヒメがオオクニヌを好いてることにえらく機嫌を損ねます。

そして、、、

「蛇の部屋へ案内してやれ!」と、ヒメに命じます。
そこは蛇がうようよひしめき合うおぞましい部屋。
しかし、父親の言葉にはむかうことも出来ずヒメは戸口まで案内します。

すると、、、

「蛇が襲ってきたら、この布を三度ふって下さい。」と、言って
蛇の布と呼ばれる物をオオクニヌシへ渡します。


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部屋にふみ入るやいなや、あたりはとぐろを巻き、絡まり合っては喉をならす飢えた蛇の群れに囲まれ、生きた心地もありゃしません。。。蛇が襲いかかってくるや、スセリヒメが渡してくれた布を三度降ります。すると、こうべをたれて退き、蛇たちは眠ってしまいました。(-_-)zzz

次の日、、、

朝、オオクニヌシが平気な様子で部屋から出て来るのを見るとスサノオは余計腹を立てます。

そして、、、

「今夜は、ムカデと蜂の部屋を使わせよ」と、ヒメに命じます。


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しかし、ヒメが渡してくれたムカデはちの布で次々と襲いかかる虫達を追い払います。

次の日、またしても平気な様子で部屋から出てきたオオクニヌシを見て
スサノオは益々穏やかではいられません。

そこでオオクニヌシを外の草原に連れ出すと、
一本の鏑矢(かぶらや)を彼方に放ち、取りに行かせます。

オオクニヌシは、草むらを分け入って探しますが矢はいっこうに見つかりません。

すると、、、

背後から物凄い火がぼうぼうと差し迫ってきます。


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火は見る間にオオクニヌシを囲みます。


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そのとき、一匹の鼠(ねずみ)がやってきて

「 うちはほらほら そとはずぶずぶ 」と、うたっています。
(地面の中はがらんどう、入り口は狭いから安心という意味だそうです。)

そこで力任せに大地を踏むと、身一つすっぽり入る穴が開き、助かります。

オオクニヌシがほっとしていると、、、

さっきの鼠がスサノオの射た鏑矢を咥え、オオクニヌシへ捧げてくれています。

そんなこととはつゆ知らないスセリヒメは、オオクニヌシが焼き殺された物だと思い泣き悲しんでいます。
スサノオは満足そうに燃えすぼった地を見わたしています。

すると、、、

なんとその中から手に鏑矢を持ったオオクニヌシ
笑みをたたえながらやってくるではありませんか!!

さすがのスサノオも驚きます。

しかし、まだまだスサノオからの試練は続きます・・・

今度はオオクニヌシスサノオの宮殿の大広間へ招き入れます。

そして、、、

スサノオオオクニヌシ
「俺の頭のシラミを捕ってくれ。」と、言います。
オオクニヌシは、言われた通りスサノオの髪をかき分けシラミを捕ろうとしました。

しかし、、、

そこにいたのはシラミではなく、
ムカデがうようよとうごめいています。

オオクニヌシがためらい困っていると、スセリヒメが椋の実(むくのみ)と赤土を内緒でそっと差し出してくれます。
オオクニヌシはそれをかみ噛み砕き、吐き出します。
その様子を見たスサノオは、てっきりオオクニヌシがムカデを噛み砕いて吐き出していると勘違いし、「なかなか大した男じゃないか」と、感心します。

そのうちスサノオは、寝てしまいます。
しかし、オオクニヌシはこのチャンスを逃がしません!!

スサノオの髪を幾筋にも束ね、部屋のたる木に結びつけます。
それから五百人力でも動かせるかどうかと言うほどの大きな岩で館の入り口を塞ぎます。

そしてスサノオが大切にしている生太刀(いくたち)、生弓矢(いくゆみや)、天の詔琴(あめののりごと)を携えると、スセリヒメと急いで逃げ出します。

しかし、、、

そのときオオクニヌシが手に持っていた琴が木にあたり、地響きのような物凄い音を立ててしまいます。
それでスサノオは目を覚まします。それからスサノオが立ち上がると、髪に引かれてたる木が倒れ、広間は凄まじい勢いで崩れます。

スサノオは物凄い勢いで二人を追ったが時既に遅し、二人は海上を船で去ってゆくところでした。

スサノオは岸壁に立つと、
声をかぎりによばわった。


【おまえがうばった太刀と弓矢で、兄弟たちをせいぜいおいはらうがよい。そうして国の神となり、屋敷を築き わしの・・・・・わしの娘をしあわせにしてやってくれ】
(こちらは絵本の引用文より)


スセリヒメを妻にし、立派な御殿を建て、それからオオナムジはオオクニヌシと名乗ることになりました。そしてスサノオから譲り受けた太刀と弓矢で八十神(やそがみ)達を追いやり、中つ国(なかつくに)の支配者として末永く国を治める立派な神様となりました。



おわり

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まとめ

神様とはいえ、なかなか人間臭さ溢れる魅力が伺えます。
スサノオの愛娘を思う気持ち、オオクニヌシに対する嫉妬と尊敬のまなざし、最後は娘を託す決意をします。
結婚前の娘を思う父親の気持ちが分かり易く表わされています。

大国主神(オオクニヌシ)になるまでの険しい道も、妻となるスセリヒメや鼠に助けられながら様々な困難を乗り越えます。
生きていく上で自分1人の力じゃどうしようもないことって確かによくあることですよね。。。

本当のトップになるためには、ただ強いだけではなく、人望も大切だということをまざまざと見せつけられた気がします。

逃げ出さずに挑戦する姿勢と覚悟の大切さ、これからの子供達がむかえるであろう多難な時代を生きていくためのヒントや、生きる上での大切なヒントがこの絵本には沢山散りばめられていると思います。

絵本の紹介

日本の神話 第五巻

すさのおとおおくにぬし

赤羽末吉 絵/船崎克彦 文/あかね書房

日本の神話シリーズの第五巻のこの絵本は、スサノオオオクニヌシとのやり取りが見所です。様々な無理難題を出すスサノオに対して果敢に挑戦するオオクニヌシの姿と、まわりの協力を経ながら困難を乗り越える様子が船崎克彦による美しく丁寧な日本語と、赤羽末吉による印象的な絵が絶妙に組み合わさり古事記に忠実に沿った素晴らしい傑作となっております。
古事記の絵本はいくつか出ていますが、スサノオオオクニヌシのやりあうシーンのある絵本はこちらのみです。


日本の神話シリーズ(全六巻)

赤羽末吉 絵/船崎克彦 文/あかね書房

こちらは日本の神話のシリーズ全六巻セットです。
我が家にもおいてありますが、シリーズで読み進められるので話が途切れることなく、古事記の流れを把握することが出来るのでオススメです。全六巻とも赤羽末吉による絵と、船崎克彦による文章によって構成されております。
日本の神話の絵本はそもそもあまり出回っていません。それに元々少ないのでいつ買えなくなるか分かりません。そのため今のうちに揃えて置かれることをオススメします。

自分でも読めるお子さんにおすすめの本

学研まんが日本の古典

まんがで読む 古事記

【監修】竹田恒泰【まんが】館尾冽/岩元健一/久間月慧太郎/亀小屋サト

漫画に関しては賛否両論あるかと思います。しかし、こちらは変な改悪もなく、古事記に非常に忠実で分かり易く描かれております。それに面白いのであっという間に読み進められちゃうと思います。補足があるので学びにもちゃんと繋がってくれます。ざっくり流れも把握できるので、お母さんにもお勧めです。



是非、親子で日本の神話の絵本を手に取って読み聞かせをして日本の神話に親しみつつ、自分たちが住んでいる日本のことをもっと知って、もっともっと日本のことを好きになって、世界一古くて伝統のある自国に誇りを持てたら幸いです。



「良い絵本と子育て」
 いいえほん より



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