“いなばのしろうさぎ”日本の神話の絵本④因幡の白兎の絵本は日本神話の入り口にオススメしたい絵本です。
因幡の白兎(いなばのしろうさぎ)とは?
因幡の白兎は日本が誇る世界で最も古い書物と言われている、あの古事記の文中でのお話しの一つです。オオナムヂが大国主命(オオクニヌシノミコト)へとおなりになる前までの有名な神様のエピソードが綴られています。
※前回までの話はこちらから
日本神話への入口におすすめなのが、なぜ“因幡の白兎”なのか?
についての理由3つ。
- 小さな子でもよく知っている“うさぎ”や“わに”(サメ)の動物が登場するので親しみが持ちやすく、取っつきやすいから。
- わに(サメ)に渡るシーンが軽快で楽しく子供の耳に残りやすいため、印象に残りやすい。
- 日本の有名な神様について、絵本をきっかけに楽しみつつ、大きくなったときに無理せずともいつの間にか日本を代表する書物である古事記についての学びを自然と広げられる事が出来るから。
まだ物語の内容が理解しずらい幼いお子さんからでも楽しめる要素がたっぷり詰まっているのが“因幡の白兎”です。文章もさほど難しいものではないのでお母さんも読みやすく、お子さんも割と話しに入りやすいと思います。お子さんがこの絵本をきっかけに、他にも数ある日本の神話の絵本に少しずつ興味を持ち、お子さんの成長や興味のペースでいずれ広げてもらえたら良いかと思います。
あらすじ
- 絶世の美女!と、言われる八上姫(ヤガミヒメ)との結婚を申し込むために兄達はオオナムヂ(のちの大国主命となる重要人物)を従え、八上(現在の鳥取県八頭郡)を目指し、遠征します。
- 八十神(ヤソガミ)と呼ばれる大勢いる兄弟の中で1番末であるオオナムヂは、兄達からいつも馬鹿にされいじめられていたので、この遠征中には兄達の荷物持ち係(いわゆるパシリです…)をさせられます。
- 途中、因幡の気多の岬へ先に辿り着いた兄達は、和爾(わに)に毛皮を剥ぎ取られてしまって泣いている赤裸の兎に出会います。事情を聞いた兄達は治してあげるどころか「海水を浴びて風に当たるとよくなる」と、わざと兎をからかって嘘を教えたため、兎の体は前よりもっと酷くなります。
- 重い荷物を抱え後からやって来たオオナムヂが、気多の岬に着いた時、痛くて痛くて苦しみ泣いている可哀想な兎に出会います。そして、優しいおおなむじは正しい手当ての仕方を兎に丁寧に教えます。「今すぐ川口で体を清め、がまの穂をまき散らした上で寝転がって花粉を体につけなさい」と。兎はオオナムヂに言われた方法の通りにすると、赤裸で傷付いた肌は、みるみるうち元のふさふさの毛皮に戻りました。
- 兎から御礼を言われたおおなむぢはその後、思いがけない事を告げられます。「八上姫様が結婚相手に選ぶのは、八十上(兄達)ではなくあなたでしょう」と。そして兎の言っていた通り兄達は八上姫に見事に次々と振られ、八上姫は最後にオオナムヂを選んで結婚することになりました。そして、様々な国を治める立派な神様 大国主命(オオクニヌシノミコト)になりました。
ザックリ話の流れはこんな感じです。。。
-
兎がなぜ和爾(わに=さめの事と言われています。※諸説あり)に皮を剥ぎ取られ赤裸になっていたのか?と、いうと・・・
兎のいる淤岐の島(おきのしま)から本土へ渡りたかった兎は、本土へ渡るために和邇を騙して利用してやろうと考えました。
そこで兎は「和爾の一族と兎の一族で、どちらの数が多いのか数比べをしないかい?」と、和邇に持ちかけました。
「よし、やってやろうじゃないの!」と、プライドの高い和爾を一列に向こう岸まで並ばせる事に成功します。
そして兎は「1匹、2匹、3匹、、、、、……」と順に数えながら和爾の背中を軽々と飛び越え渡って行きます。そして、いよいよあと一歩で本土に着きそう!と、言うところで兎は妙な自信と余裕が出てしまったのか、思わず「ハハハ、バーカ騙されたな~!数比べなんて嘘だよ~!向こう岸へ渡りたかっただけなのさ!」と、なんと、ここで暴露してしまうのです。そのため「騙したなー!このやろー!」と、和爾は怒り狂います。
兎は岸に渡り着くあと一歩手前で、怒った和爾に一瞬で捕らえられ、ガリっと…皮を剥ぎ裂かれてしまった訳です。
因果応報というやつですね。。。
ここでの兎が「いっぴき、に~ひき、さ~んびき、・・・」のところ!小さな子がとっても喜んでくれるポイント箇所であります🖤兎の可愛らしい絵と共に耳に残りやすく、楽しいようで、我が家では必ず子供も一緒に声を出して読んでくれます。そんな我が子の姿が可愛らしく、愛おしく思う瞬間でもあります。
そして、、、
忘れてはならないのが
実は上の娘の小学校の教科書に“いなばのしろうさぎ”が記載されていて「おっ!」と、思ったのもつかの間。
よーく見てみると、、、なんと、
大事な結婚の話がごっそり抜け落ちているではありませんかー!!(学校の教科書だからと言って安心ならないです。)
この結婚の話しがなければ話しの意味だって全く変わってきてしまいますし、こうなると残念なことに全く別のお話しになってしまいます。
子供達が動物愛護の話なのかな?と、勘違いしてしまってもおかしくないのではないかと危惧しております。幸いなことに我が家ではよくよく読み聞かせをしておりましたので子供自ら改悪に違和感を覚え、すぐに話しの違いに気が付いておりました。
この違和感がとっても大切なことだと思っていて、普段から本物の絵本に触れさせていたからこそ気づけた事なんだな~と、絵本の重要性を改めて感じる次第です。
子供は良くも悪くも
影響を受けるものです。
今後も、この感覚を失わないよう大切にして参りたいと思っております。
是非、絵本の選定は間違えないように
お子さんに中身のある良い絵本を読み聞かせてあげましょう。
実際に我が家にある“因幡の白兎”のおすすめの絵本を3つご紹介します。
いなばの白うさぎ
日本昔ばなしアニメ絵本⑰【永岡書店】
脚色・構成/照沼 まりえ 絵/四分一 節子(マジックバス)
こちらは本屋さんでもよく見掛ける絵本だと思いますが、小さな子の小さな手でも持ちやすく、アニメ調すぎない絵が良いです。
八上姫との結婚のエピソードがしっかり入っているので安心です。
いなばの白ウサギ
十二支むかしむかし【佼成出版社】
文/谷 真介 絵/赤坂 三好
残念ながら八上姫との結婚エピソードが抜け落ちているものの、こちらは他の絵本にはない何故ウサギが島にいたのか?についてや、今も残る“ウサギ神社”の由来について詳しく描かれているのもこの絵本の特徴です。
十二支シリーズのためか、兎の性格についての詳細も描かれております。こちらは、サブ絵本としておすすめします。
いなばのしろうさぎ
日本の神話 第四巻【あかね書房】
文/舟崎 克彦 絵/赤羽 末吉
なんと言っても赤羽末吉の絵が臨場感があり、素晴らしいです。そして船崎克彦による文がとても美しく、終始丁寧な言葉で綴られております。もちろん、八上姫との結婚エピソードもバッチリ入っております。
他の絵本にはない兄達が八上姫に結婚を断られたその後についても詳細に描かれており、大国主の命を奪おうと何度も画策する所や、それを見た母神の刺国若比売(さしくにわかひめ)の子を思う母の姿についても詳細に描かれており、絵も文も内容も文句無しの良質な絵本です。
あとがきには、しろうさぎの白は色の白ではなく、素(しろ)と、言うことについても言及されており、なかなか深みのある、探求心も満たせ、知的好奇心も育める1冊だと思います。
こちらは年長さん以上がおすすめですが、幼い子でも絵を見るだけでも十分目の保養になると思います。お子さんのペースに合わせてお読み頂ければ良いかと思います。
日本の神話 絵本 全6巻/あかね書房
文/舟崎 克彦 絵/赤羽 末吉
その他おすすめ“因幡の白兎”の絵本
いなばの白うさぎ~オオナムヂとヤガミヒメ~
日本の神話 古事記えほん【四】 (日本の神話古事記えほん)
監/三浦祐之 文/荻原規子 絵/山村浩二
最後に
このお話しでは、絶世の美女と言われている八上姫が、なぜ大勢いる八十神(兄弟達)の中で蔑まれ、除け者にされていたオオナムジを結婚相手に選んだのだろうか?とか、鮫(サメ)なのに何で和邇(ワニ)って言うのかな~?などなど。。。
そんなことを親子であーだこーだと言い合いながらやり取りする時間もまた楽しく過ごせますし、いずれそれが素敵な思い出となって残る時が来るでしょう。
お話しに登場する兎が渡ってきた気多の岬の海です。奥に見える小さな島が兎がいた淤岐の島だそうです。
美しいですね。
日本には神話にまつわる神社や場所が各地に古くから今でもに大切に残されていて、昔からずーっと今も同じ場所にある!って凄いことですし、誇らしいです。それに日本は世界で1番古い国のため、まだ分かっていないことも多く、今でも各地で遺跡が発掘され続けているそうですね。
小さな頃から神話の絵本に親しんでおくと有名な場所に限らず、地元の大宮や神社に行った時にも近所の神様について知ることが出来ますし、自分達の住んでいるここ日本についてもより一層深く知ることが出来ます。
最近よく言われている「自己肯定感」と、いうやつだって自分達の住んでいる日本の事や、ご先祖様の事を知れば知るほどきっと強くなることでしょう。
是非、“因幡の白兎”の絵本の読み聞かせを親子で親しみつつ、楽しみましょう♪
「良い絵本と子育て」
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